はじめに

アルミダイカスト用素材
ADC12について

アルミダイカスト部品は通常、量産前に何度か試作を行います。形状の確認はA6061などの圧延材を削り出して製作する場合が多く、評価の内容によってADC12相当材を削り出して製作します。

一般的に流通しているADC12相当材は量産品と化学成分は近い材質ではあるものの機械的性質は各メーカーで多少異なっていることをご存知でしょうか。
日本産業規格(JIS H 5302 : 2006)では、ADC12の機械的性質は「受渡当事者間の協定による。」と記載されており、化学成分以外の保証はされていません。素材メーカーは機械的性質の参考値こそ出していますが、実際のデータと大きく異なる場合があります。

弊社はADC12の試作加工だけでなく材料のみの販売もしており、お客様より機械的性質に関するご質問を多くいただきました。そこで、独自に実施した各種試験結果をもとに評価に合った素材をご選択いただけるようADC12相当材の資料をご用意いたしました。

ご不明な点がございましたら遠慮なくお問い合わせください。

弊社のADC12ブロック材
販売サービスの特長

ADC12素材は4種類から選択可能です。材種により機械的性質が若干異なります。
種別によってご提供可能最大サイズが異なります。

ご提供可能最大サイズ

A種
300mm × 480mm × 700mm
N種
230mm × 370mm × 500mm
C種
350mm × 400mm × 500mm
M種
200mm × 370mm × 2470mm

成分分析試験成績表

材種 Si Fe Cu Mn Ni Zn Mg Ti
ADC12(JIS H 5302:2006) 9.6~12.0 1.3以下 1.5~3.5 0.5以下 0.5以下 1.0以下 0.3以下 0.3以下
A種-F(熱処理なし) 10.8 0.78 1.9 0.00 0.00 0.48 0.26 0.16
N種-F(熱処理なし) 10.4 0.59 2.0 0.18 0.06 0.48 0.25 0.03
C種-F(熱処理なし) 11.1 0.20 2.0 0.01 0.00 0.00 0.14 0.01
M種-F(熱処理なし) 10.9 0.7 2.7 0.2 0.1 0.8 0.26 0.11
  • ※すべて素材メーカーの実績値ですが、保証値ではありません。

機械的性質

材種 0.2%耐力(MPa) 引張強さ(MPa) 伸び(%) 硬度(HRB)
ADC12 150※ 310※ 3.5※ 54※
A種-F(熱処理なし) 149~152 212~225 2 44~47
N種-F(熱処理なし) 157~164 234~261 2 52~55
C種-F(熱処理なし) 119~125 210~220 3~4 34~36
M種-F(熱処理なし) 156~166 272~277 4 49~57
  • ※上記は弊社で行った試験結果を記載していますが、保証値ではありません。
  • ※出典「ダイカストって何?」 一般財団法人日本ダイカスト協会 発行

製造上の理由により、母材から切り出す位置によって硬度が均一でない場合があります。
硬度のばらつきが問題になる評価をする場合は事前に硬度測定を行うことをおすすめします。
(ロックウェル硬さBスケールにて)

有料サービス 1ヶ所 2,800円(税別)

ご注意

測定点に圧子の跡がつきます。
希望硬度に満たない場合も購入のキャンセルはできません。

ミツトヨ HR-620Aにて測定

T6処理条件を
2種類ご用意しております。
必要に応じてご指示ください。

素材と熱処理による機械的性質の違い

材種 0.2%耐力(MPa) 引張強さ(MPa) 伸び(%) 硬度(HRB)
ADC12 150※ 310※ 3.5※ 54※
A種-T6L 241~251 288~320 2~3 68~71
A種-T6H 245~257 328~335 3 66~72
N種-T6L 260~267 342~353 2~3 71~73
N種-T6H 235~242 325~363 3~6 65~71
C種-T6L 215~218 292~307 3 66~67
C種-T6H 197~199 327~335 7~8 61~65
M種-T6L 257~263 312~314 2 66~72
M種-T6H 245~257 306~312 2 61~71
  • ※上記は弊社で行った試験結果を記載していますが、保証値ではありません。
  • ※出典「ダイカストって何?」一般財団法人日本ダイカスト協会 発行

ADC12の丸棒は入手困難なため、
板材から棒状に加工いたします。

ご提供可能サイズ

Φ10~400mm 程度

ご注意

材種により選択できる仕上げ方法が異なります。対応可能長さは都度ご相談となります。

直径の2倍までの長さ

板材から円形に切り出し加工が可能です。

直径の2倍以上の長さ

板材を棒状に旋盤加工します。

地金の種類について

詳しくはこちら
材種 一次合金 二次合金 備考
A種 - - 非開示
N種
C種 - - 不明
M種
一次合金
純アルミに添加物を加えて合金化したもの。
新塊地金ともいう。
二次合金
アルミ地金やアルミスクラップを原料に製造したもの。
再生地金ともいう。